序章 「二〇世紀のジェーン・オースティン」―併せてA・ハクスリーと B・ピム
第一章 『異国の人にも親切に』(Civil to Strangers, written 1936, published 1987)―初の本格的長編
第二章 『ジャーヴェスとフローラ』(Gervase and Flora, 1937-38)と『銃後の護り』―『いとも極秘の』のあらすじを添付
第三章 『クランプトン・ホドネット』(Crampton Hodnet, wrtn 1939-40; pub. 1985)―ピム喜劇の先駆
第四章 『誰か優しい羚羊でも』(Some Tame Gazelle, written 1940, published 1950.)―公刊第一作・傷つけることのない風刺の矢
第五章 『優秀な女たち』(Excellent Women(1952)―善意ゆえに他者に利用されてばかりいて
第六章 『ジェーンとプルーデンス』(Jane and Prudence, 1953)―女の自己実現を容認しない一九五〇年代のイギリス状況
第七章 『天使には及ばずながら』(Less Than Angels, 1955)―空疎な学問と真の人間探求の対比
第八章 『満杯の幸せ』(A Glass of Blessings, 1958)―教養臭のない教養小説(ビルドゥングスロマン)
第九章 『愛の甘い報酬、絶無』(No Fond Return of Love, 1961)―しかし読み終えた報酬は絶妙
第10章 『不釣り合いな慕情』(An Unsuitable Attachment, Wrtn 1963; Pub .1982 )―面白みに不釣り合いな出版拒否
第11章 『ある学術的問題』(An Academic Question, Wrtn 1971-2; Pub. 1986)―学者たちの腐敗を一瞥(いちべつ)する作品
第12章 『秋の四重奏』(Quartet in Autumn, 1977)―晩秋の詩(うた)、定年と孤独、老いと死、他の詩人の活用
第13章 『可愛い鳩は死んだ』The Sweet Dove Died, 1978)―イギリスの《現況》観察、人心の変化
第14章 『なお残る緑の葉たち』(A Few Green Leaves, 1980)―ピムの「末期の眼」が記したもの